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オペラ「ラ・ファヴォリータ」のあらすじ、ストーリー、登場人物、アリア等を解説。【ドニゼッティ作曲】

こんにちは。
オペラあらすじ入門ガイドの管理人、リサです。

今日はドニゼッティ作曲のオペラ「ラ・ファヴォリータ」の
あらすじ、ストーリー、登場人物、アリア等を
ざっくり&じっくり解説していこうと思います。

※ラ・ファヴォリータはフランス語版もありますが、ここでは上演されることの多いイタリア語版で解説します

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目次

ドニゼッティ作曲、オペラ「ラ・ファヴォリータ」の基礎知識

【原題】
La Favorita

【作曲者】
Gaetano Donizetti
ガエターノ・ドニゼッティ

【台本】
仏語:アルフォンス・ロワイエ、ギュスターヴ・ヴァエーズ
伊語翻訳:フランチェスコ・ヤンネッティ、カリスト・バッシ、ファウスト・ブルサール

【初演】
1840年12月2日 パリ、オペラ座にて

【上演時間】
約2時間15分

【登場人物】
フェルナンド(T) 修道士見習いでレオノーラを愛している
バルダッサーレ(B) 修道院長
アルフォンソ11世(Br) カスティーリャ王
レオノーラ(S/Ms) アルフォンソ王の愛人
ドン・ガスパール(T) 王の重臣
イネス(S) レオノーラの侍女

【設定】
1340年 スペイン北部のカスティーリャ王国

ざっくり版 あらすじ、ストーリー

修道士フェルナンドは祈りにきた女性に恋に落ちる。
しかし彼女はアルフォンソ国王の愛人、レオノーラだった。
フェルナンドは父親で修道院長のバルダッサーレに恋心を打ち明け、話し合いの末にフェルナンドは修道院から追放される。

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彼女が国王の愛人だと知らないフェルナンドはレオノーラに会い結婚を迫るが、彼女は「愛しているなら別れて欲しい」と受け入れない。フェルナンドは戦で名を上げることで彼女の愛を手に入れることを誓う。

フェルナンドは戦で勝ち、国王の信頼を得る。
戦に勝った宴が行われている席で、侍女がレオノーラ宛の手紙を持ってくる。
その手紙を奪った重臣のドン・ガスパールは手紙を国王に見せ、国王はレオノーラに誰からかと問い詰める。
しかしレオノーラは答えない。
そこへ修道院長のバルダッサーレが登場し、王妃よりも愛人を大切にする国王を責め、宴は混乱におちいる。

フェルナンドが凱旋し、国王に「どんな褒美が欲しいか」と問われ、何も知らないフェルナンドはそこにいるレオノーラが欲しいと口にする。

国王はフェルナンドのせいでレオノーラを失ったことに気づき、復讐のために一時間後に結婚式を挙げるように指示する。

レオノーラは喜びつつも、国王の愛人だったことを知られる不安を感じ、結婚式前に侍女にこのことをフェルナンドに伝えるように頼むが、侍女は捕まってしまう。

そのままフェルナンドとレオノーラの結婚式が始まり、そこへバルダッサーレがあらわれ、レオノーラが国王の愛人だと告げる。
はじめてその事を知ったフェルナンドは屈辱に打ち震え、結婚式は中止となる。

フェルナンドは修道院に戻り、再び修道士となる。
ある日、瀕死の尼僧がやってきて、助けたフェルナンドは彼女がレオノーラだと気づき驚く。
レオノーラは騙すつもりはなかったと許しを請い、フェルナンドは二人で暮らそうと告げる。
だが、レオノーラはフェルナンドの腕の中で息絶えてしまうのだった。

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じっくり版 あらすじ、ストーリー

※あらすじ内に出てくる数字をクリックすると、その場面で歌われるアリアのタイトルに飛びます。

【第一幕】

修道士見習いのフェルナンドは、父親であり修道院長でもあるバルダッサーレに悩みを打ち明ける。

祈りを捧げにくる美女を好きになってしまったというのだ(※1)。

バルダッサーレは神の教えに従うようにと諭すがフェルナンドは聞こうとしないため、フェルナンドに修道院から出て行くように命じる。

レオン島の海岸にイネスたち娘がたたずみ、小舟がやってくるのを見守っている。
目隠しをされたまま舟にのせられたフェルナンドは海岸に着き、イネスたちに謎の美女について尋ねるが教えてもらえない。

そこへレオノーラがあらわれ、フェルナンドと再会を喜ぶ。

だがレオノーラは自分が国王の愛人だということを言い出せない(※2)。

レオノーラは彼のためを思い、軍隊の隊長に任命する書類を渡し、別れようとする。

しかしフェルナンドは別れようとしない(※3)。

国王がやってきたとイネスが告げ、レオノーラが去った後、フェルナンドは「戦で勝ち高い身分を得られたら、彼女の愛も得られるだろう」と自らに誓う(※4)。

【第二幕】

第一幕からしばらく年月がたったある日。
アルフォンソ王はイスラム教徒との戦いに勝って手に入れた宮殿を満足げに眺めている。

重臣のドン・ガスパールが教皇の使いがやって来ることを告げる。

王は自分とレオノーラの関係に反対する教皇に不満を感じ、レオノーラへの愛を語る(※5)。

レオノーラがやってきて、「王妃にしてくれると言われたのに、騙されて愛人になってしまった。皆が私をさげすんでいます」と王を責める(※6)。
レオノーラは自分を解放して欲しいと訴える。

王はレオノーラとともに宴に行こうとするが、侍女イネスが持っていたレオノーラ宛の手紙をガスパールから渡される。
王はレオノーラを問い詰め、彼女は好きな男性の存在は認めつつも、誰かはかたくなに答えようとしない。

そこへバルダッサーレがやってきて、「王が愛人と再婚するのであれば、教会は王を追放する」と告げる。

反抗的な態度の王にバルダッサーレは「神の怒りを恐れよ」と高らかに宣言する(※7)。

そしてレオノーラに対して「この女は呪われている。二人は永久に教会から追放される」と告げ、宴は混乱におちいる(※8)。

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【第三幕】

戦に勝ったことでフェルナンドが王の宮殿に招かれる。
王はフェルナンドに「戦の褒美は何が欲しいか」と尋ねる。
フェルナンドは「愛する女性と結婚させて欲しい」と伝える。

そこへレオノーラがやってきて、レオノーラがフェルナンドの好きな女性だと知った王は、二人が結婚すれば自分の地位が守られると考え、二人の結婚を許し、一時間後に結婚式を挙げるように命じる。

レオノーラはフェルナンドと結婚できると喜びつつも、国王の愛人だったことを知られることに不安をつのらせる(※9)。

彼女は侍女イネスに結婚式前にフェルナンドにその事を伝えてくれるように頼むが、イネスは王の家臣に捕らえられてしまう。

結婚式の会場では宮廷の者たちが「愛人と結婚してまで身分が欲しいのか」と地位を与えられたフェルナンドを笑っている。

フェルナンドが皆の態度に怒りを覚えたその時、バルダッサーレが入ってきてフェルナンドにレオノーラは王の愛人だと告げる。

フェルナンドは驚き、レオノーラは伝言が届かなかったことを初めて知る。

フェルナンドは怒りに燃え、「位などいらぬ」と剣を床にたたきつけ立ち去る(※10)。

【第四幕】

フェルナンドはもといた修道院に戻り、修道士として生活している。

修道士たちが祈りを捧げ、一人残ったフェルナンドはレオノーラを忘れられないと一人で思いをはせる(※11)。

修道女の格好としたレオノーラがそこへやってきて、フェルナンドの自分に対する責めと愛をつぶやく独り言を聞く。
その後レオノーラは立ち去ろうとするが、その場で倒れてしまう。

フェルナンドは倒れている人に気づき助け起こすが、それがレオノーラだと分かり「出て行け」と冷たく突き放す。

しかしレオノーラは必死に許しを乞い、死ぬ前に一度会いたかったと告げる(※12)。

そんなレオノーラを見て心を打たれたフェルナンドは二人で生きていこうと「ここから逃げよう」と言う(※13)。

しかしレオノーラは力尽き、フェルナンドの腕の中で息絶える。

フェルナンドの叫び声を聞き、バルダッサーレたちがやって来る。
レオノーラが亡くなったことを知ったバルダッサーレは「見習い修道士のために祈ろう」と声をかける。

フェルナンドは「明日は皆が自分のために祈るはずだ」と言い激しく泣き崩れるのだった。

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オペラ「ラ・ファヴォリータ」のアリア&聴きどころ

※数字部分をクリックするとあらすじ内のアリアが歌われる場面に飛びます。

※1 フェルナンドのアリア
天使のような、見知らぬ女性が  Una vergine, un angel di Dio

※2 フェルナンドとレオノーラの二重唱
愛しいお方  Ah! mio bene

※3 フェルナンドとレオノーラの二重唱
ああ、あなたを忘れるなんて Fia vero? Lasciarti!

※4 フェルナンドのアリア
そうだ、あなたの声が私に思い起こさせた  Si, che un tuo solo accento

※5 アルフォンソ王のアリア
レオノーラよ、おいで  Vien, Leonora

※6 アルフォンソ王とレオノーラの二重唱
私が父の城をあとにした時 Quando le soglie paterne varcai

※7 バルダッサーレのアリア
神の怒りを恐れよ  Ah! paventa il furor d’un Dio

※8 レオノーラ、バルダッサーレ、アルフォンソ王たちの五重唱と合唱
恐ろしさに震えるわ Ah! io tremo di terror

※9 レオノーラのアリア
いとしいフェルナンドよ O mio Fernando!

※10 フェルナンド、レオノーラ、アルフォンソ王、バルダッサーレたちの五重唱と合唱
彼の高貴で誇り高き魂は  O ciel! di quell’ama il puro candor

※11 フェルナンドのアリア 
清らかな天使よ  Spirto gentil

※12 レオノーラのアリア 
フェルナンド、神の慈悲のように  Pietoso al par del Nume

※13 フェルナンドとレオノーラの二重唱
さあ一緒に行こう  Vieni!, Ah! vien

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オペラ「ラ・ファヴォリータ」についての私的解説

もともとフランス語で描かれたラ・ファヴォリータはその後イタリア語版が製作されましたが、イタリア語にするにあたって色々な問題が生じ、そのために物語につじつまが合わない点が多くなったそう。

それでも近年はイタリア語版の方が多く上演されていますが、最近ではオリジナル性を重視しフランス語版を上演する劇場も増えているんだとか。

このオペラで重要な役をになうフェルナンドとレオノーラはそれぞれテノールとソプラノ、という声が指定されているだけに感じられますが、ただ高音が出るだけのテノールとソプラノでは彼らの情感を表現しきれません。

そのため、意外とぴったりとくる歌い手が少ないのです。

ただでさえ重めで色のある声の歌い手の割合が少ないのに、愛し合う恋人同士の声のバランスをとろうとするとなかなかキャスティングができないのが難点でしょう。

そうなると、軽めの声の恋人同士でキャスティングすることになってしまい、本来のドラマチックな雰囲気とはまた違ったオペラになってしまいます。

歌い手が揃わないのであればそれは仕方のないことではありますが、軽やかに、きれいに歌うのを聴いて満足してしまう聴衆がいることをやや残念にも思ってしまうのです。

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以上、
「オペラ「ラ・ファヴォリータ」のあらすじ、ストーリー、登場人物、アリア等を解説。【ドニゼッティ作曲】」
でした。

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